感覚統合とは、「目・耳・体・皮膚などから入ってくる情報を、脳がうまく整理して、体や心をコントロールする力」のことです。
これは一気にできるようになるのではなく、土台 → 応用 → 複雑な力 と段階を追って育っていきます。
第一段階:体の“土台づくり”(乳幼児期)
《キーワード:前庭覚・固有覚・触覚》
まず最初に育つのは、目に見えないけれどとても大切な 「からだの感覚」 です。
• 前庭覚(バランス感覚)
→ ゆられる・転がる・飛び跳ねるなどで育つ
• 固有覚(筋肉や関節の感覚)
→ ぎゅっと押す・引く・ぶら下がる・歩くなどで育つ
• 触覚(肌の感覚)
→ 抱っこ・マッサージ・砂遊び・水遊びで育つ
▶ この段階の目的
「安心して動ける体づくり」
体の感覚が育つと、落ち着きやすくなり、人や遊びに集中できるようになります。

第二段階:姿勢・運動のコントロールが育つ(幼児期)
《キーワード:姿勢・両手の使い方・目と手の協調》
体の土台が育つと、次は
「じょうずに動く力」「姿勢を保つ力」 が発達します。
• ぐらぐらせず座れる
• 階段を交互にのぼりおりできる
• ボールをキャッチできる
• 両手を上手に協力させて使う(利き手の分化)
▶ この段階の目的
「体を目的に合わせて動かせるようになる」
これにより、運動遊びや手作業がスムーズになります。

第三段階:目・耳・体の“複数の感覚”を合わせて使う(幼児後期〜学齢期)
《キーワード:視覚・聴覚・体の感覚の統合》
ここでは、複数の感覚を一度に使う力が育ち始めます。
• 聴いた指示を理解しながら作業する
• 目で見た情報をもとに行動する(例:字を書く位置を合わせる)
• ボールが来る方向を判断してキャッチする
• 周囲を見ながら安全に歩く
▶ この段階の目的
「状況をとらえて、計画的に行動できる」
学習の基礎力がここで大きく育ちます。

第四段階:学校の学習や社会生活に必要な力につながる(学齢期)
《キーワード:集中力・自己調整・学習スキル》
ここまでの土台が積み上がると、次のような力につながります。
• 集中して取り組める
• 気持ちを切り替えられる
• 字を書く・計算する・読むといった学習がスムーズに
• 周囲に合わせた行動ができる
• 自分の体力や感覚を見ながら“調整”できる
▶ この段階の目的
「自分で考え、学び、社会で行動できる力」
学校生活や友達関係にも直結します。

まとめ
感覚統合の発達は“階段”をとばせない
ポイントは、
学習・集中・お友だち関係などの“上の階”の力は、必ず下の階(体と感覚の土台)が必要
ということです。
もし、上の段階で困りごとがある場合、
原因は 一番下の体の感覚の段階にある ことがよくあります。
生活の中でできるサポートの例
• よく動く遊び(ブランコ・縄跳び・鬼ごっこ)
• 深い圧の感覚(ぎゅっと抱きしめる、布団にくるまる)
• 手先遊び(つみ木、レゴ、ねんど)
• 見て・聞いて・動く遊び(宝探しゲームやリレー)
これらは、感覚統合の発達を助ける自然な遊びです。



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