子どもに遊びを提供するポイント

おうち療育

〜“できる!”を引き出す OT 的あそび設計〜

子どもに遊びを提供するとき、
「楽しんでほしいのに、すぐ飽きる…」
「難しすぎる? いや、簡単すぎる?」
と悩むことはありませんか?

実は、遊びは “ちょうどよい難易度” が命!
特に発達特性のある子どもは、刺激の強弱や環境の違いによって、できたり・できなかったりが大きく変わります。

作業療法士として、多くのご家庭や園・学校で支援してきた経験から、
家庭ですぐ使える “遊びの提供のポイント” と “難易度調整のコツ” をまとめました。

子どもに遊びを提供するときのポイント

 遊びを提供するとき、大前提として、その子の興味がある遊びを選択することはとても大事です。その遊びの中で、難易度や刺激量などを調整して遊びを提供することで、とっても大事なおうち療育の場になります!少し意識するだけでももちろんOK!

① 「目的」を大人が把握しておく

遊びには必ず“ねらい”があります。
ただ楽しいだけではなく、
• 指先の力を育てたい
• 注意力を伸ばしたい
• 体幹を強くしたい
• 気持ちの切り替えを身につけたい
などの目的を、大人がこっそり設定しておくと効果が大きくなります。

✔ 目的が明確だと…
→ 子どもの様子に合わせて“どこを伸ばしたいか”が分かり、調整もしやすい!

② 成功体験をつくりながら進める

遊びの途中で失敗が続くと、すぐに「やらない!」となる子もいます。
特に発達特性のある子は失敗経験に敏感。

だからこそ、
最初の3割は“必ずできる内容”にするのが鉄則。
• 最初に「できた!」を感じさせる
• 次第に難易度を上げる
• 最後に“ちょっとがんばるチャレンジ”を置く

この流れが一番スムーズです。

③ 見通しをもたせる

「何をやるの?」「いつ終わるの?」が分からないと不安になる子は多いです。
• 絵カード
• 3ステップの手順
• タイマー

などを使って “道筋が見える遊び” にすると、安心して参加できます。

④ 五感の刺激量を調整する

発達特性のある子は、
・刺激に敏感(過敏)
・刺激をもっと欲しがる(鈍麻)
のどちらかに偏ることがあります。

✔ 音、光、匂い、触覚、動き
これらが強すぎたり弱すぎたりすると、遊びに集中できません。

例)
• 過敏 → 明るさを下げる、大きな音を減らす、柔らかい素材にする
• 鈍麻 → 音をつける、重さを足す、手を使う量を増やす

子どもが落ち着く刺激を見つけるのがカギ。

⑤ 大人は“教える人”ではなく“伴走者”に

遊びは学習ではありません。
「そうじゃないよ!」「こうしなきゃダメ!」は NG。

子どもが自分で考える余白を残しつつ、
必要なときだけ手を貸す “伴走スタイル” が最も伸びます。

遊びの難易度を調整する3つのポイント

① 量・大きさ・速度を変える

一番簡単にできる難易度調整です。

● 量

ブロックを10個 → 5個に
片付けるカードを20枚 → 5枚に
など、「量」を減らすだけで達成感が上がります。

● 大きさ

小さいパーツ → 大きいパーツに
細い紐 → 太い紐に
操作しやすさが格段に変わります。

● 速度

早いゲーム → ゆっくりペースに
タイマーの時間を延ばす
などで調整します。

② 環境を整えて難易度を調整する

遊びの成功は、
子どもの力 × 環境 で決まると言われています。

環境を変えると難易度は大きく変わります。
• 音を減らす
• 照明をやわらかくする
• 机の上のものを減らす
• 座る場所を安定させる

例:椅子に座れない → バランスボールをやめて安定した椅子へ
例:集中できない → 背中にクッションを入れる

環境調整は“即効性”が高く、最初に取り組む価値あり!

③ 「成功率6〜7割」に設定する

作業療法では、
成功率6〜7割が成長を促す最適ライン と考えられています。
• 5割未満 → 難しい(失敗体験が増える)
• 9割以上 → 簡単(成長につながりにくい)

少しだけ“がんばるとできる”くらいがちょうどよいのです。

遊びの難易度調整の具体例(すぐ使える!)

● 積み木
• 簡単:大きくて軽い積み木
• 普通:中サイズで形がいろいろ
• 難しい:細長い積み木、高く積む

● お絵かき
• 簡単:太いクレヨン、自由画
• 普通:テーマあり
• 難しい:細いペン、模写や塗り分け

● ボール遊び
• 簡単:大きくて柔らかいボール
• 普通:中くらいの球
• 難しい:小さい球、スピードを上げる

● 運動遊び
• 簡単:短い距離の平均台
• 普通:カーブあり
• 難しい:狭い幅、長い距離

このように、同じ遊びでも工夫次第で難易度はガラッと変わります。

まとめ

    遊びは、子どもの脳・体・心を育てる栄養そのもの。
    その遊びを大人が上手に設計できると、子どもはぐんと伸びます。
    • 目的をもつ
    • 最初は必ず成功させる
    • 見通しを持たせる
    • 五感の刺激を調整する
    • 伴走者スタイルで見守る
    • 成功率6〜7割に難易度を調整する

    これだけで、おうち遊びは“発達支援の場”になります。

    遊びは“子どもを伸ばす最高の教材”です。ぜひご家庭で、今日から取り入れてみてくださいね。

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