〜作業療法的アプローチで“安心”を取り戻す〜
子どもの癇癪(かんしゃく)は、
「わがまま」「性格」の問題ではありません。
多くの場合、“感情の交通整理”がうまくいかない状態であり、
脳の発達や感覚の特性が大きく関係します。
作業療法士として長年子どもとかかわる中で感じるのは、
癇癪対応には“順番”がとても重要だということ。
間違った順番で対応すると、火に油を注いでしまうこともあります。
今日は、どんなご家庭でもすぐ使える
癇癪対応の5ステップをお伝えします。
STEP1:安全確保
まずは安全を確保しましょう。(声かけより先!)
癇癪の最中、子どもは感情が爆発しており、
大人の言葉はほぼ届きません。(自分の声しか聞こえていない)
まず優先すべきは“安全”。
✔ 物が飛びそうなら距離をとる
✔ 下の兄弟を別の部屋へ移動
✔ 静かな場所に誘導
言葉より先に「環境調整」から。
これは感覚が過敏な子には特に効果的です。
STEP2:共感
共感の言葉をひとことだけ伝えましょう(短く・やさしく)
癇癪中は長い説明や説得は逆効果。
必要なのは短い共感の一言だけ。
・「嫌だったね」
・「うまくいかなかったんだね」
・「びっくりしたね」
これ以上話しすぎると、子どもはさらに混乱します。
親の落ち着いた声は、子どもの“安心のスイッチ”になります。
STEP3:待つ
とにかく落ち着くのを待ちましょう。
癇癪は、
脳の情動を司る「扁桃体(へんとうたい)」が暴走している状態。
この間は、
✔ 理解できない
✔ 考えられない
✔ 行動をコントロールできない
つまり、落ち着くまで何を言っても届きません。
気持ちの波が下がってくるのを静かに待ちましょう。
近くにいて、見守るだけでも十分です。
STEP4:気持ちを整理する
気持ちが落ち着いた後に、気持ちを言葉で整理しましょう。
癇癪がおさまったら、ここで初めて「気持ちの名前付け」をします。
・「悔しかったんだね」
・「思うようにできなくて困ったね」
・「取られたと思って悲しくなったね」
子どもは「自分の感情を理解できた」と感じると、
次の癇癪の“予防”に大きくつながります。
発達特性のある子には、
表情カードや絵本もとても有効です。
STEP5:改善サポート
最後に、行動の改善をサポートします。
例)
・おもちゃを取られた → 言葉で「貸してって言う」
・思い通りにいかない → 「手伝ってって言う」
・順番が守れない → 目印やタイマーを使う
大人が“こうしなさい”と決めつけるより、
「どうしたらよかったかな?」と一緒に考えることが大切。
このプロセスが、
「次は自分で対応できる」という成功体験につながり、
癇癪の頻度そのものが減っていきます。
まとめ
癇癪対応は、親の技術ではなく“習慣”
癇癪は、親の愛情不足やしつけ不足ではありません。
脳の発達や感覚の特性によるものが多く、親のせいではありません。
今回の5ステップは、親子が安心して関われるための“習慣”です。
• 子どもが落ち着きやすくなる
• 親もイライラが減る
• 距離感が優しくなる
そんな変化を感じられるはずです。
余裕がないときは、癇癪の起きた状況を把握しておくだけでも、傾向がつかめるかもしれませんよ!


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